環境負荷低減輸送
2003年10月より実証実験を行っておりますModal Mix Logisticsについてご説明申し上げます。
現在国内の90%を担うトラック輸送産業ですが、排気ガスから排出されるNoxやPM、そしてCO2など大気汚染や環境への与える問題がその役割の大きさから排出される量も多く、様々な問題を引き起こしているのが我々の担う輸送業界であります。
国も自治体も、そして我々トラック輸送業界も対応に追われておりますが、トラックに変わるインフラ整備に限界があるのが実情のようです。
そして本当にトラックは悪なのか?様々に悩み、考え、弊社では、環境に取り組む企業の皆様のお手伝いをできればと一つの結論をだしました。
ISOマネジメントの内部監査においても、環境対策について問われます。
資源ごみの減量・そして目標達成のための数値管理。輸送という取組みの中にも反映できればと社内制度の見直しや連携機関・船舶会社の協力のもと、船舶利用環境型輸送を開始いたしました。
例えばCO2の場合、平成13年度の統計データに基づけば下記の表データの値が示すようになっています。
輸送機関 |
CO2排出原単位 [g-CO2/t・km] |
鉄道 |
21 |
内航船舶 |
38 |
営業普通トラック |
174 |
これは貨物1tを1km輸送するときに排出されるCO2の量だそうです。
普通トラックに比べると、鉄道・船舶は低い数値です。これは一度に輸送できる量が大きいためです。しかし、かといって鉄道引込み線や自社内に港湾を持つ会社も多くはありません。また鉄道・船舶の多くの両端においては貨物トラックが担っているのことが実情であり、いくつかの問題が発生しています。
連絡輸送において『想い』は届くのか?・・・大切なお客様へ確実にその輸送はプロジェクトになっているのか?・・・それぞれのセクションを一元に管理できているのか。
サプライチェーンを管理することは総合コスト削減につながります。それぞれのセクションの融合や情報交換は多大な知恵を生み出します。一度に多くの物資を送ることも輸送コスト削減に寄与します。
ただ、安かろう悪かろうではいけないと思います。鉄道も直接線路を越えて輸送をすることは不可能です。定時制には定評はありますが、場所によっては時間がかかることや料金がかさむことは考えておかなくてはなりません。何より人員輸送という使命の中で貨物のラインを太くするにはより複雑なシステムを構築しなければならず、すべての企業がシフトするにはまだまだ課題もあります。
船舶もその多くは港を勝手に変えて輸送することはできません。
フレキシブルな輸送はトラックだからこそ可能なのかもしれません。だからこそ、トラックが環境というものの最先端として取り組むことが重要であるのではと思うのです。
そして、我々は輸送業者としてお客様の代わりに納品業務を代行するプロの集団であるのだから、この環境輸送というプロジェクトをとおして生産者の、営業マンの想いをも輸送できたならと乗務員への教育指導の強化をはかりました。フレキシブルで環境に対応できる機動力の高さと普及力がテーマです。
そしてこれからの環境対策に対応すべく、それぞれ企業ISO内部監査まで用いることが可能な環境数値データをお届けできればと頑張っております。
例)大分市から大阪府までを10t輸送した場合の比較
従来の輸送方法・・・陸上走行750km
CO2排出量・・・174g×10t×750km×10-6=1.305t -CO2/t・km
Modal Mix Logistics・・・陸上走行50km 船舶運行距離海路600km
A・・・174g×10t× 50km×10-6=0.087t -CO2/t・km 陸上走行
B ・・・38g×20t×600km×10-6=0.456t -CO2/t・km
陸上+海路=融合CO2排出量0.543t -CO2/t・km
0.543÷1.305=0.416となり、机上値でも実に58.4%のCO2を削減達成できます。
これらの集積を環境輸送報告書として提出することによりISO内部監査報告にても、企業内環境負荷の低減実績資料としてご活用いただけることと思います。
そしてここで分かるのは、船舶輸送にした際の最大のネックとなる陸上走行に比べ船舶利用料金がかかることでした。
大型トラックのフェリー利用料金は約6万円、途中の輸送区間を船舶航路に切り替え使わずに済む燃料油脂費、有料高速道路代を差し引いても差額は3万円となり、これをいかにすればにお客様に負担なくすことが可能になるのかという挑戦がはじまりました。
◾船舶の年間利用による割引料金の適用
◾車両運搬具の見直し(一度に輸送できる量を増大)、専用車両の設計開発
◾車両運行の効率化
◾後方支援車両の設計開発
そして、2005年に同一エリアへの混載便化・お客様のご理解による到着時間の緩和(8時/10時/11時)などへもご賛同を頂き、基本運行の定期化等により新たにご負担頂くこと少なく、地区によっては陸上輸送では限界だとされていたコストダウンを実現し、よりリーズナブルなサービスとして仕上がりました。
地区や混載の度合いによっては従来の輸送に比べ10%近くのコスト低減に成功したお客様もございます。
本当のコストダウンは身近なところにあるのかもしれません。
大分-関西地区(2005年) |
貨物1tあたりの輸送コスト指数 |
陸上輸送 |
100 |
単なる船利用 |
130 |
Modal Mix Logistics |
85 |
そして2006年度以降のModal Mix Logisticsでは、本社物流センターを設計し企業の皆様と一般の皆様の生産と消費、時間と場所の離隔を調整する、無限に広がる可能性への挑戦が続いています。